第12回 尿失禁の種類と改善体操

今回は気になる尿失禁とその改善トレーニングについてのお話です。
まず尿失禁には4つのタイプがあり、それぞれ対処法も変わってきます。簡単に特徴を説明すると、くしゃみや咳などお腹に力が入った時に漏れる腹圧性尿失禁、強い尿意とともに多量に漏れる切迫性尿失禁、膀胱に尿が溜まりすぎてだらだらと漏れる溢流性尿失禁、排尿することは問題なく出来るけどトイレにいくなどの動作が出来ずに漏れる機能性尿失禁に分かれます。(表1)

表1

  症状 原因 対処方法
腹圧性尿失禁
  • くしゃみや咳など腹部に力が入った時に漏れる。
  • 女性に多い。
  • 骨盤底筋群の筋力低下
    (妊娠・加齢・肥満・便秘)
骨盤底筋
トレーニング
切迫性尿失禁
  • 強い尿意とともに多量に漏れる
  • 男性に多い
  • 中枢神経障害
    (脳卒中・脊椎疾患等)
薬物療法
溢流性尿失禁
  • 尿が溜まり過ぎて慢性的にだらだら漏れる。
  • 尿道の閉塞
  • 膀胱の筋力低下
原因疾患の治療
機能性尿失禁
  • 排尿に関連した動作や、判断が出来ない。
  • 移動能力の低下
  • 認知症等
動作訓練
環境調整

中でも一番数が多く、トレーニングで改善できるものが腹圧性尿失禁と言われています。ここでは、この腹圧性尿失禁(以下尿失禁)に対するトレーニングをご紹介します。

まず、膀胱に溜まった尿は骨盤底筋群や括約筋と言われる骨盤の内部にある小さい筋肉が締まることによって漏れないようになっています。これらの筋力が落ちたり、緩んだりすると尿が漏れます。(図1)

【トレーニング方法】

では、実際にどのようにトレーニングを行えば良いか説明していきましょう。

  1. 椅子に座った姿勢、仰向けで膝を立てた姿勢、立った姿勢いずれかリラックス出来る姿勢を取ります。(図2)
  2. 骨盤底筋を図1のように頭の中にイメージします。
  3. ゆっくりと深呼吸しリラックスします。息を吸うことよりもゆっくり吐く事を意識してください。4~5回繰り返し行ったら準備完了です。
  4. 肛門を締めた後、緩める。この動作を繰り返します。
  5. 「ぎゅっ」と速く強く締める動作、「ぎゅ~っ」とゆっくり長く締める(5秒程度)動作を交互に行います。
  6. 回数は1セット10回前後、1日5セット程度を目安に行います。
  • 椅子に座った姿勢

  • 仰向けで膝を立てた姿勢

  • 立った姿勢

【注意点】
  • 腹筋に力が入ってしまうと骨盤底筋に負担がかかり、返って逆効果になります。力を入れたときにお腹を触って硬くなっていたら腹筋に力が入ってしまっていますので、力を抜いてからもう一度行ってください。
  • 「ぎゅっ」と締めた後は3秒程度、「ぎゅ~っ」と締めた後は15秒程度休むようにして筋肉をリラックスさせてください。

動かし方に慣れてきたら、徐々に日常生活の中にもこの動きを取り込んでいくとより効果的です。例えばエレベーターを待っている時、電車に乗っている時、台所で料理をしている時などいつでも出来ます。 更に慣れてくると、歩いている時や、洗濯物を干す時など体を動かしている時でも出来るようになってきます。ここまで出来るようになる頃にはトレーニングの効果が出てきていることでしょう。

効果が出てくるまでにはだいたい6~8週間くらいかかると言われていますので、粘り強く続けてください。8週間程度しっかりトレーニングをしても効果がない場合は、腹圧性尿失禁以外の原因も考えられるので専門医を受診してください。