疾患別リハビリテーションの点数・施設基準・届出に必要なもの

 

2023年10月12日

疾患別リハビリテーションの開設を計画している方の中には、「疾患別リハビリテーションの届出をしたいけど、書類作成が複雑でわかりにくい」「点数、施設基準と届出の方法が知りたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、疾患別リハビリテーション届出の書き方と注意点について解説します。

リハビリに関するご相談

疾患別リハビリテーションの点数表

疾患別リハビリテーションとは、心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料及び呼吸器リハビリテーション料を指しています。

疾患ごとに対象、点数、施設基準などが異なります。疾患別リハビリテーションの点数は以下となります。

心大血管疾患リハビリテーション
・心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ):205点
・心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅱ):125点

脳血管疾患リハビリテーション
・脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ):245点
・脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅱ):200点
・脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅲ):100点

廃用症候群リハビリテーション
・廃用症候群リハビリテーション料(Ⅰ):180点
・廃用症候群リハビリテーション料(Ⅱ):146点
・廃用症候群リハビリテーション料(Ⅲ):77点

運動器リハビリテーション
・運動器リハビリテーション料(Ⅰ):185点
・運動器リハビリテーション料(Ⅱ):170点
・運動器リハビリテーション料(Ⅲ):85点

呼吸器リハビリテーション
・呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ):175点
・呼吸器リハビリテーション料(Ⅱ):85点

出典:厚生労働省「別表第一|医科診療報酬点数表」

疾患別リハビリテーション届出に必要な書類

疾患別リハビリテーションの届出には、以下4点の書類が必要です。

・特掲診療料の施設基準に係る届出書
・リハビリテーションの施設基準に係る届出添付書類
・リハビリテーション従事者の名簿
・リハビリテーション室の平面図

上記のうち「リハビリテーションの施設基準に係る届出添付書類」は、各疾患別リハビリテーション料によって様式が異なります。 心大血管疾患リハビリテーションの届出には様式41と様式44の2、脳血管疾患リハビリテーション、運動器疾患リハビリテーション、呼吸器リハビリテーションの届出には様式42と様式44の2が必要です。また、各疾患別リハビリテーションに応じた別添2「特掲診療料の施設基準に係る届出書」の書類も必要です。

以下で詳細について説明します。

疾患別リハビリテーション届出の流れ

疾患別リハビリテーションの届出をするには、地方厚生局のWebサイトから必要書類をダウンロードし必要事項を記入後、地方厚生局へ直接提出する必要があります。届出の手順は以下のとおりです。

(1)各地方厚生局のWebサイトから様式41(もしくは様式42)、様式44の2、別添2「特掲診療料の施設基準に係る届出書」の資料をダウンロードする
(2)必要書類を準備して、地方厚生局へ書類を提出する
(3)届出後、原則として2週間以内、遅くとも1ヶ月以内には要件審査の結果が出る
(4)届出の要件を満たしていれば、届出をした日の翌月1日から算定可能

出典:厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」

FAXでの提出は認められておらず、原則として届出書と添付書類を作成し郵送で提出します。

特掲診療料の施設基準に係る届出書

「特掲診療料の施設基準に係る届出書」の記入事項は、保険医療機関コード又は保険薬局コード、連絡先、届出事項、保険医療機関・保険薬局の所在地及び名称の欄です。 保険医療機関コード又は保険薬局コードの記入欄には、提出する医療機関のものを記載しましょう。届出事項記入欄には、該当する施設基準の名称を記入します。また、届出事項記入欄下のチェックボックスすべての内容を確認し、問題なければレ点を記入します。

出典:厚生労働省「特掲診療料の施設基準に係る届出書」

リハビリテーションの施設基準に係る届出添付書類

前述のように、「リハビリテーションの施設基準に係る届出添付書類」には2種類の書類があります。 心大血管疾患リハビリテーション料の届出に必要な「心大血管疾患リハビリテーション(Ⅰ)(Ⅱ)の施設基準に係る届出添付書類(様式41)」と、その他の疾患別リハビリテーション料の届出に必要な「リハビリテーションの施設基準に係る届出添付書類(様式42)」です。

算定する予定の疾患別リハビリテーション料に応じて必要書類を用意しましょう。 書類には、届出区分、従事者数、面積、器械・器具の一覧、初期加算算定の有無、リハビリテーション科の医師名に関する記入欄があります。

運動器リハビリテーション料を届け出る場合

例えば、運動器リハビリテーション料の届出をする場合、様式42の書類を提出しなければいけません。様式42を例に記載する手順を説明します。 まず届出区分欄の該当する部分に○を付け、従事者数を記載しましょう。従事者数は、常勤、非常勤、専従、専任に分けて記載する必要があります。 次に治療、訓練を十分実施しえる専用施設の面積、当該リハビリテーションを行うための器械・器具の一覧に関して、必要な情報を記入しましょう。初期加算の有無に関しては、該当の方を○で囲みます。 有に○をつけた場合は「リハビリテーション科の医師の氏名」欄に該当する医師名を記載します。なお、当該医師はリハビリテーションに専ら従事している医師である必要があります。 また、週3日以上常態として勤務していて、所定労働時間が週 22 時間以上の勤務を行っているリハビリテーション科の非常勤医師を組み合わせて配置することも可能です。非常勤医師を組み合わせて配置する場合、当該医師の「常勤換算」の□に「✓」を記入する必要があるので注意しましょう。

心大血管疾患リハビリテーション料を届け出る場合

心大血管疾患リハビリテーション料の届出をする場合は、様式41の届出が必要です。 記載すべき情報(従事者、訓練室の面積、装置・器具、初期加算の有無)は様式42と同じです。しかし、様式41の場合は記載する従事者数が医師、看護師、理学療法士の3職種のみで、装置・器具については製品名まで記載する必要があるので注意しましょう。
□「初期加算届出の有無」欄について、有に○をつけた場合、「リハビリテーション科の医師の氏名」欄を記載する必要があります。また、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週 22 時間以上の勤務を行っているリハビリテーション科の非常勤医師を組み合わせて配置している場合には、当該医師の「常勤換算」の□に「✓」をチェックします。

リハビリテーション従事者の名簿

特掲診療料の施設基準に係る届出書と、リハビリテーションの施設基準に係る届出添付書類の提出とともに、様式44の2「リハビリテーション従事者の名簿」も提出が必要です。 記入事項は、氏名、職種、常勤・非常勤、常勤換算、専従・専任する分野、経験の欄です。専任・専従する分野に関する記入欄には、専従の場合は◎、専任の場合は●を記載します。 経験の欄には、研修を修了したリハビリテーション名を記載し、証明する修了証等を添付する必要があります。 リハビリテーション従事者の資格取得を証明する書類の添付も必要です。

厚生労働省の資料によると、疾患別リハビリテーションに従事している理学療法士または作業療法士について「当該保険医療機関の定める所定労働時間に満たない場合には、当該リハビリテーションの実施時間以外に他の業務に従事することは差し支えない」とされています。 たとえば、疾患別リハビリテーションと通所リハビリ、訪問リハビリの実施時間をずらすことで、理学療法士や作業療法士が兼務することも制度的には可能です。必要に応じて効率的なリハビリ人員の配置を考えましょう。

出典:厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」

リハビリテーション室の平面図

疾患別リハビリテーションの届出には、「リハビリテーションの平面図」の提出も必要です。 平面図といっても詳細な平面図ではなく、様式42もしくは様式41に記載した「治療・訓練を十分に実施しえる専用施設の面積」に計算されているスペースを記載しましょう。

また、その平面図中には器械・器具が配置されていることを記入する必要があります。

そのほかの必要事項

施設基準

疾患別リハビリテーション料を算定するには、それぞれの施設基準を満たす必要があります。施設基準には以下のような内容が含まれているので、事前に確認しておきましょう。

・医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の配置基準
・機能訓練室の面積
・指定された器械・器具

詳細な施設基準は以下のWebサイトをご参照ください。

厚生労働省「令和4年度診療報酬改定について」

出典:厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」

まとめ

今回は疾患別リハビリテーションの点数や施設基準などについて解説しました。疾患別リハビリテーションごとに点数や施設基準が異なるため、それぞれ確認しておきましょう。 必要な届出書類は、特掲診療料の施設基準に係る届出書、リハビリテーションの施設基準に係る届出添付書類、リハビリテーション従事者の名簿、リハビリテーション室の平面図の4つです。心大血管疾患リハビリテーションだけ様式41を提出しなければいけないので注意が必要です。 「もっと詳しく知りたい」という方は、疾患別リハビリテーション開設や届出に詳しいコンサルタントに相談することをおすすめします。

執筆者プロフィール

野田晃司(Webライター)
作業療法士資格を取得後、病院勤務を経て、介護施設を経営する会社に勤務。10年以上介護業界で働きながら、施設立ち上げから施設管理者を経験する。同時に会社役員として会社経営にも携わる。現在は、過去の経験を活かしてWebライターとして活躍。多数のメディアで記事を執筆している。