デイサービス(通所介護)で加算できる内容とは?単位数と算定条件について解説

2025年7月1日

デイサービス(通所介護)は規模区分や提供したサービスによってさまざまな加算や減算が設定されています。事業所の収益向上のためにも、各項目についての理解を深めましょう。
本記事では、デイサービスで算定できるサービスの種類や、それぞれの単位数と算定要件について解説していきます。

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デイサービス(通所介護)の規模区分について

デイサービスには、通常規模型、大規模型(Ⅰ)、大規模型(Ⅱ)の3つの規模区分があり、それぞれ前年度の1か月当たりの平均利用延人員数によって決定されます。 規模区分ごとの平均利用延人員数は以下のとおりです。

● 通常規模型:750人以内
● 大規模型(Ⅰ):750人を超え900人以内
● 大規模型(Ⅱ):900人超

なお、人員数の計算方法は以下のとおりです(サービス提供時間が7時間以上8時間未満の場合)。

● 前年度の実績が6ヶ月以上の事業者の場合
前年度の4月から2月までの利用者数の合計÷実績に値する月数
● 前年度の実績が6月未満の事業者(新規事業者も含む)または、前年度から定員を約25%以上変更する予定の事業者の場合
自治体に届け出た利用定員の90%✕1日当たりの平均営業日数

デイサービスの施設基準など、より詳しい内容については以下の記事をご覧ください。
デイサービス(通所介護)開業の必要条件とは?指定基準・資金調達方法も解説

デイサービス(通所介護)の規模区分による報酬

デイサービスの規模区分ごとの報酬は、サービス提供時間と介護度(要介護)に応じて決まっています。サービス提供時間は3〜9時間の間で1時間ごとに区別されていますが、9時間以上の利用の場合も設定されています。 9時間以上の利用の場合は1時間ごとの追加で50単位ずつ加算される設定です。

単位数の詳細については以下をご覧ください。
通所介護費・地域密着型通所介護費

デイサービス(通所介護)のサービス加算

デイサービスは基本報酬の他に、各サービスで加算や減算があります。以下に主要なサービス加算について説明していきます。

利用者の数が利用定員を超える場合又は看護・介護職員の員数が基準に満たない場合

利用者の数が利用定員を超える場合または、看護・介護職員の数が基準に満たない場合、所定の単位数から30%減算されます。

高齢者虐待防止措置未実施減算

高齢者虐待防止措置未実施減算は、利用者に対する虐待の発生を防止するための措置(虐待防止のための委員会の開催や指針の整備など)が講じられていない場合に適用される減算です。所定単位数の100分の1に相当する単位数が減算されます。

業務継続計画未策定減算

業務継続計画未策定減算は、義務付けられている業務継続計画を策定していない場合に適用される減算です。感染症や災害が発生した場合などにおいて、必要な介護サービスを継続的に提供できる体制が構築されていないと判断され、減算の対象になります。所定単位数の100分の1に相当する単位数が減算されます。

2時間以上3時間未満の通所介護を行う場合

所要時間が2時間以上3時間未満の通所介護を行う場合は、4時間以上5時間未満の所定単位数の70%を算定できます。

感染症又は災害の発生を理由とする利用者数の減少が一定以上生じている場合

感染症又は災害の発生によって、月の利用者数が前年度の月平均よりも100分の5以上減少している場合、翌々月から3か月間、1回につき所定単位数の100分の3に相当する単位数が加算されます。さらに、経営改善に時間を要す場合や、特別な事情があると判断された場合は、3か月以内に限り加算期間が延長されます。

8時間以上9時間未満の通所介護の前後に日常生活上の世話を行う場合

日常生活上の世話の所要時間が9時間を超えた場合は、1時間ごとの追加で50単位ずつ加算されます。なお、所要時間は14時間が上限になります。

中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算

特定の中山間地域に居住する利用者に対し、通常の事業の実施地域を超えてサービスを提供した場合、所定単位数の5%が加算されます。

入浴介助加算

入浴介助加算は、利用者の入浴介助を行った場合に適用される加算です。

● 入浴介助加算(Ⅰ)
入浴介助の研修を受けた職員が入浴介助を行った(見守り含む)場合に適用され、1日につき40単位加算される。
● 入浴介助加算(Ⅱ)
入浴介助加算(Ⅰ)の要件を満たしたうえで、医師や介護職員などが利用者宅の浴室における入浴動作と環境評価を行い(情報通信機器などの利用可)、作成した入浴計画をもとに入浴介助をした場合に適用され、1日につき55単位加算される。

中重度者ケア体制加算

中重度者ケア体制加算は、中重度の要介護者を受け入れる体制を構築してサービスを提供した場合に適用される加算です。以下の要件を満たす場合に適用され、利用者全員に1日につき45単位加算されます。

● 居宅サービス基準の人員基準の員数に加えて、看護職員と介護職員が常勤換算方法で2以上確保されている
● 前年度または届け出月の前3か月において、要介護3以上の者の割合が30%以上である
● 専従の看護職員が1名以上配置されている
しかし、共生型通所介護による加算が算定されている場合は算定できません。

生活機能向上連携加算

生活機能向上連携加算は、外部の介護サービスとの連携によって利用者の身体状況などの評価を行い、個別機能訓練計画を作成した場合に適用される加算です。

● 生活機能向上連携加算(Ⅰ)
外部の理学療法士などと情報通信機器などを用いて連携した場合に適用され、3か月に1回(利用者の急性増悪などにより個別機能訓練計画を見直した場合を除く)、100単位加算される。個別機能訓練加算を算定している場合は加算できない。
● 生活機能向上連携加算(Ⅱ)
外部の理学療法士などが事業所に訪問して連携した場合に適用され、1か月につき200単位(個別機能訓練加算を算定している場合は100単位)加算される。

個別機能訓練加算

個別機能訓練加算は、機能訓練指導員(理学療法士、作業療法士、看護職員、柔道整復師など)が利用者に対し、作成した個別機能訓練計画に基づいて機能訓練を行った場合に適用される加算です。

● 個別機能訓練加算(Ⅰ)イ
専従の機能訓練指導員が1名以上配置されている場合に適用され、1日につき56単位加算される。
● 個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ
専従の機能訓練指導員が2名以上配置されている場合に適用され、1日につき76単位加算される。
● 個別機能訓練加算(Ⅱ)
個別機能訓練加算(Ⅰ)イまたはロを算定し、厚生労働省へ個別機能訓練計画などの情報をLIFEによって提出している場合に適用され、1か月につき20単位加算される。

ADL維持等加算

ADL維持等加算は、利用者の利用開始月と6か月目のBarthel Indexの値から計算したADL利得が定められた基準に達し、LIFEを用いて厚生労働省へ提出した場合に適用される加算です。

● ADL維持等加算(Ⅰ)
ADL利得の平均値が1以上の場合に適用され、1か月につき30単位加算される。
● ADL維持等加算(Ⅱ)
ADL利得の平均値が3以上の場合に適用され、1か月につき60単位加算される。

認知症加算

認知症加算は、認知症介護に係る専門的な研修を修了した職員を1名以上配置し、認知症の利用者にサービスを提供した場合に適用される加算です。以下の条件を満たす場合に適用され、1日につき60単位加算されます。

● 居宅サービス基準の人員基準の員数に加えて看護職員と介護職員が常勤換算法で2以上確保されている
● 前年度または算定月の前3か月において、認知症(生活に支障をきたす恐れのある症状や行動がある)の者の割合が15%以上である
● 認知症介護に係る実践的な研修などを修了した者が1名以上配置されている
● 従業者に対する認知症ケアに関する事例の検討や技術的指導に係る会議を定期的に開催している

しかし、共生型通所介護による加算が算定されている場合は算定できません。

若年性認知症利用者受入加算

若年性認知症利用者受入加算は、40歳から65歳未満の若年性認知症の利用者にサービスを提供した場合に適用される加算で、1日につき60単位加算されます。認知症加算を算定している場合は適用されません。

栄養アセスメント加算

栄養アセスメント加算は、管理栄養士が介護職員などと共同して、栄養サービスが必要な利用者に対して栄養アセスメントを行う場合に適用される加算です。

事業所の従業員または外部との連携により管理栄養士を1名以上配置し、介護職員や看護職員などと共に、利用者に対して栄養アセスメントや家族への相談を行います。また、利用者ごとの栄養状態等の情報をLIFEを用いて厚生労働省に提出し、その情報を活用する必要があります。1か月につき50単位加算されます。

栄養改善加算

栄養改善加算は低栄養状態またはその恐れのある利用者に対し、心身の状態の維持または向上に向けて、栄養管理が行われる場合に適用される加算です。事業所の従業員または外部との連携により管理栄養士を1名以上配置したうえで、管理栄養士などが利用者の栄養ケア計画を作成する必要があります。
算定できるのは3か月以内の期間で、1か月に2回を上限として、1回につき200単位加算されます。サービスの開始から3か月後に低栄養状態が改善せず、サービスの継続が必要だと認められた場合は、引き続き算定できます。

口腔・栄養スクリーニング加算

口腔・栄養スクリーニング加算は、利用者の利用開始時および利用期間中の6か月ごとに、口腔の健康状態のスクリーニングまたは栄養状態のスクリーニングを行った場合に適用される加算です。他の事業所ですでに算定している場合は算定できません。

● 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)
栄養アセスメント加算、栄養改善加算、口腔機能向上加算を全て算定していない場合に適用され、1回につき20単位加算される。
● 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ)
栄養アセスメント加算、栄養改善加算、口腔機能向上加算のうち1つ(もしくは2つ)算定している場合でも適用され、1回につき5単位加算される。栄養アセスメント加算または栄養改善加算を算定している場合は、口腔項目のスクリーニングのみ、口腔機能向上加算を算定している場合は栄養項目のスクリーニングのみ実施する。栄養アセスメント加算または栄養改善加算と、口腔機能向上加算を両方算定している場合は算定できない。

口腔機能向上加算

口腔機能向上加算は、口腔機能が低下しているまたはその恐れのある利用者に対して、口腔清掃や摂食・嚥下機能訓練を実施した場合に適用される加算です。算定できるのは3か月以内の期間で、1か月に2回を上限とします。サービスの開始から3か月後に口腔機能が改善せず、サービスの継続が必要だと認められた場合は、引き続き算定できます。

● 口腔機能向上加算(Ⅰ)
言語聴覚士や歯科衛生士などを1名以上配置したうえで、作成した口腔機能改善管理指導計画書に基づいてサービスを提供している場合に適用され、1回につき150単位加算される。
● 口腔機能向上加算(Ⅱ)
(Ⅰ)の要件に加え、LIFEを用いて厚生労働省に口腔機能改善管理指導計画などを提出している場合に適用され、1回につき160単位加算される。

科学的介護推進体制加算(LIFE加算)

科学的介護推進体制加算は、利用者ごとのADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況などの基本的な情報を、LIFEを用いて厚生労働省に提出した場合に適用される加算で、1か月につき40単位加算されます。

LIFE(科学的介護情報システム)について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
科学的介護情報システムとは?特徴や導入までのステップを紹介

事業所と同一建物に居住する者又は同一建物から利用する者に通所介護または地域密着型通所介護を行う場合

事業所と同一建物に居住するまたは同一建物から事業所に通う利用者に対し、サービスを提供した場合は、1日につき94単位減算されます。しかし、傷病ややむを得ない事情によって送迎が必要である場合は除外されます。

送迎を行わない場合の減算について

利用者の居宅から事業所間の送迎を行わない場合は、片道につき47単位減算されます。しかし、同一建物に居住するまたは同一建物から事業所に通う利用者に対する減算を行っている場合は除外になります。

サービス提供体制強化加算

サービス提供体制加算は、介護福祉士の人数や勤続年数の基準を満たした場合に適用される加算です。

● サービス提供体制強化加算(Ⅰ)
介護職員のうち介護福祉士が70%以上在籍または、勤続10年以上の介護福祉士が25%以上在籍している場合に適用され、1回につき22単位加算されます。
● サービス提供体制強化加算(Ⅱ)
介護職員のうち介護福祉士が50%以上在籍している場合に適用され、1回につき18単位加算されます。
● サービス提供体制強化加算(Ⅲ)
介護職員のうち介護福祉士が40%以上在籍または、指定通所介護を利用者に直接提供する職員※のうち勤続7年以上の者が30%以上在籍している場合に適用され、1回につき6単位加算されます。

※指定通所介護を利用者に直接提供する職員とは生活相談員、看護職員、又は機能訓練指導員として勤務を行う職員

サービス提供体制強化加算について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
サービス提供体制強化加算とは?算定要件や単位数について解説

介護職員等処遇改善加算

介護職員等処遇改善加算は、介護職員などへの処遇改善において、指定のキャリアパス要件、月額賃金改善要件、職場環境等要件を満たした場合に算定される加算です。18の区分があり、それぞれで定められた加算率が加算されます。

まとめ

デイサービスは規模区分や提供したサービスによって加算と減算が設定されています。各サービスの加算を算定できれば、事業所の収益への貢献が期待できます。
それぞれの単位数と算定要件は大きく異なるため、職場で提供しているサービスが加算項目に当てはまるか確認してみましょう。

執筆者プロフィール

松村はるか(理学療法士/保健医療学博士/医療ライター)
高齢化地域の大学病院で急性期、回復期、外来のリハビリに従事し、幅広い疾患の臨床経験を積む。同時に整形外科疾患の研究活動にも取り組み、医学論文の投稿や海外学会での研究発表も経験。現在はその経験を活かし、医療ライターとして活動している。