光線療法Photo (Light) Therapy

光線療法には赤外線と紫外線、可視光線が使用されています。
赤外線療法は温熱作用と神経刺激作用を、紫外線療法は殺菌作用と光化学作用を、可視光線療法は光化学作用(黄疸治療)や神経刺激作用(高照度光療法)を、それぞれ利用するものです。
赤外線治療は温熱療法の項で述べましたので、ここでは局所照射型赤外線治療器と半導体レーザ治療器、紫外線治療器について述べます。

a. 局所照射型赤外線療法

生体侵達性の高い近赤外線をスポット状に集光し、エネルギー密度を高くして局所刺激を行います。光刺激作用が高く、レーザー治療器と類似の作用効果を有します。

1)赤外線治療器

概要 波長が700~1600nm程度の出力が数Wの近赤外線を小スポットに集光して患部に照射します。
近赤外線は生体侵達性が高いため生体の深部まで到達します。また、エネルギー密度が高いため通常の赤外線治療器よりも強い生体刺激作用を有します。
温熱作用と光刺激作用で、血流の改善や疼痛を緩和します。
使用目的又は効果 身体の硬直、疼痛又は炎症のある部位を温めて治療。
適応 神経炎、神経痛、脳血管障害後遺症、小児麻痺、RA等の関節炎、肩関節周囲炎、変形性関節炎、打撲、捻挫、腱鞘炎、筋肉痛、腰痛など。
禁忌 膠原病、ポルフィリン症、大理石様紅斑など光線療法により増悪する疾患、光線過敏症の人、悪性腫瘍、内出血性傾向のある人、乳・幼児、意思表示ができない人、知覚障害、有熱性疾患、急性炎症、化膿性疾患、低血圧、悪性貧血その他、医師が不適当とみなした人。

b. レーザー療法Laser Therapy

低出力のレーザーを用いて非熱的な光刺激治療を行います。低反応レベルレーザー療法(LLLT)とも称されます。神経刺激作用と血管拡張作用が確認されており、疼痛緩和や血流増加、創傷治癒促進に使用されています。
神経刺激作用を利用して尿失禁治療その他への応用も試みられています。

1)半導体レーザ治療器Laser Therapy unit

概要 出力が数10~1000mW程度の、波長が800nm前後の近赤外線領域の半導体レーザーが使用されています。神経や血管を刺激して疼痛を緩和し、血流を改善し、創傷の治癒を促進します。
星状神経節近傍に照射すると星状神経節ブロックと類似の効果が得られることが確認され、安全性の高い、ブロック療法の代用としての慢性疼痛療法として用いられています。
使用目的又は効果 筋肉・関節の慢性非感染性炎症による疼痛症候群の治療。
適応 関節リウマチ、片麻痺、多発性神経炎、帯状疱疹後神経痛、頸椎症、変形性頸椎症、肩関節周囲炎、筋膜性腰痛、腰椎椎間板ヘルニア、慢性腰痛症、脊椎管狭窄症、骨折、打撲・捻挫、上腕骨外側上顆炎、変形性膝関節症、腱鞘炎などの疼痛。星状神経節ブロックの適応。
禁忌 眼、甲状腺、性腺部、心臓疾患(ペースメーカ使用者)、出血性疾患、新生児、乳児、衰弱の著しい高齢者、医師が不適当と認めた人。

c. 紫外線療法Ultraviolet Ray Radiation Therapy

紫外域の光を発する特殊なランプを備えた装置です。通常、皮膚疾患(乾癬)の治療に用いられます。紫外線を均一に分散させ、全身が暴露されるようにするため、サンベッドのような天井照明又は内壁に紫外線光管を備えた囲い(チャンバ、キャビネット等)が製作されています。本品は、ソラレン紫外線A(PUVA)療法として、ソラレンとともに使用されることが多いです。

1)紫外線治療器Ultraviolet Ray Radiation Therapy unit

使用目的又は効果 皮膚疾患の治療。
適応 乾癬、アトピー性皮膚炎、白斑、多形日光疹、菌状息肉症その他。
禁忌 全身状態が不良の人、全身消耗の激しい人、ポルフィリン症、サルコイドーシス等の系統疾患、急性期の皮膚疾患、紫外線過敏など。